人の輪をつくる活動

人の輪ネットの名称は、「東日本大震災こども未来基金」の事務局(当時) 高成田恵さんの「人の輪で助け合っていくのですね」の言葉からつけられたものです。

今回は、一人ひとりがつながって進める草の根活動からでた副産物のエピソードを紹介します。




①ベラルーシと日本の輪
辰巳雅子さんは、ベラルーシのべルラド研究所の通訳・翻訳をされており、放射能安全教育に精通しています。書籍『自分と子どもを放射能から守るには』(世界文化社)の翻訳を手がけ、日本とベラルーシの文化交流活動のなかで、研究所所長ネステレンコ氏、副所長バベンコ氏の来日を実現させた方でもあります。
2011年秋に来日したバベンコさんに、福島の子どもたちの健康を守る方法を相談したところ、
「食生活に気をつけて、日ごろのストレスを減らすこと。ワクワクする楽しいことをたくさん経験して、 夢を描けるようになると、 心が元気になり身体の免疫力も高まります。それが子供たちの病気を防ぐのです」とのお答えでした。
 人の輪ネットが子ども支援に楽しいイベントを行うのは、子どもたちの免疫力を高め、ますます元気になってもらいたいという願いがこめてのことです。2011年クリスマスの餅つき大会に続き、その後も巨大カステラ、ハロウィーンかぼちゃ等、さまざまなNPO法人さんの協力のもと、未来に夢を抱く活動をしています。


②カステラがつむぐ夢の輪(上)
被災地の子どもたちに夢を運ぶ活動といえば、NPO法人ふらいパンダさんです。
バベンコさんのアドバイスから始まった子どもたちの支援活動は、様々なつながりと波及効果を生み出しました。
ふらいパンダさんは、被災地はもちろん東京の避難家族のために、子どもたちと一緒に巨大カステラを焼きました。絵本の読み聞かせボランティア「ヒッポ」さんのメンバーも駆けつけてくれ、グリとグラの大型絵本の読み聞かせで、子どもたちの想像力を大きく膨らませました。
イキイキと目を輝かせてカステラをつくる子どもの姿を目にしたのは、被災後の慌しい避難生活で疲労と混乱のなかにいた保護者の方々にとって、生きる張りを取り戻した瞬間でもありました。「親の方が生きる勇気をもらえた」との声もあがり、イベントの後は「おウチの手伝いをよくするようになった」「将来、ケーキ屋さんになりたいと言い始めた」「ボタン掛けや靴はきなど、急にしっかりしてきた」など、嬉しい報告が続々寄せられました。
その後、赤い羽根ボランティア助成の支援を受け、2016年3月には、山形県米沢市の青空保育「たけのこ」 にて、福島市、郡山市、二本松市、国見町など福島仲通りの子どもたちが集まって、極上のカステラを焼き上げました。


③カステラがつなぐ夢の輪(下)
被災地と避難中の子どもたちのサロン活動ハートフルカフェは、勉強会、英会話、モノづくりなどさまざまな活動がありました。このカフェでの出会いが、福島に住む子どもたちに本を贈る流れにつながりました。
始まりは子どもカフェでの、ヒッポさんの絵本の読み聞かせです。巨大カステラを焼いたときも、ヒッポさんに読みきかせをしていただきました。カステラのワクワク体験を地元大森の子どもたちにも贈りたいと考えたヒッポさんは、大森第五小学校で行われた東日本大震災復興支援イベントにふらいパンダさんを招きました。
このイベントに集まった子どもたちは、東北に贈りたい絵本を持ち寄り、希望者は巨大カステラを焼いたのです。…というか、巨大カステラに魅かれて絵本を持った子どもたちが集まった…みたいな?
ここで集まった本が、たまたまのご縁で人の輪ネットに託されました。相談の末、より多くの子どもたちが集まる場所にお届けすることになりました。
・毎日たくさんの子どもが遊びにやってくる郡山市の室内遊技場ペップ・キッズ。
・子ども図書館がある小児科院、菊池医院。
・福島県内の学童保育クラブ組織。

続きがあります。 
ハートフルカフェには東京臨床心理士会の臨床心理士さんが同席されています。ヒッポさんの絵本寄贈を耳にされた臨床心理士さんが、福島への本の寄贈を申し出られたのです。
やはり、子どもがたくさん集う場所にお届けしました。
・ふくしま「みんなの家」
・青空保育園たけのこ
・ペップ・キッズ
などです。小さいなりにも、カステラと絵本が紡いだ夢と想像の世界を、福島に届ける役をおおせつかったのはとても光栄な体験でした。


④太鼓とカポエイラの交流
2012/2013年には、福島の子育て家族を招いて「子ども元気キャンプ」を開きました。
2013年秋は、福島県川俣町の子どもたちを江東区に招き、地元の愛宕太鼓クラブの子どもたちと交流しました。この翌々日は、夢の島の東京スポーツ文化館で、東京のカポエイラ(ブラジルの格闘技)団体と交流しました。
福島の子どもが東京の子どもに太鼓を教え、東京のカポエイラ指導者が福島っ子にカポエイラを教えました。 初めてのカポエイラ体験に、川俣町の子どもたちは夢中になってしまいました。「福島でも習いたい!」との熱い声があがりましたが、福島県内にはカポエイラを習える場所はありませんでした。

この交流会で司会をした木村さんは福島県いわき市出身で、当時福島県被災者同好会の会長でした。このイベントの数ヵ月後、カポエイラの修行を積むためブラジルに渡ります。
そして、一年半後に帰国。故郷福島に初めてのカポエイラ道場を開いたのです。今では、福島の子どもたちがカポエイラを学べるようになりました。

震災が起きたことで、辛いことや悲しいことがありました。でも、震災がなければなかった出会いもありました。小さなきっかけが、次の何かを生み出す原動力になっていくようすです。

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